写真展巡り

仕事休みにして、東京都写真美術館&ノマンディック美術館へ写真展を見てきた。
東京都写真美術館では3/10〜5/6まで『TOKYO・マグナムが撮った東京』を開催している。

たまたま招待券を手に入れることができたのと、マグナムの写真家達の作品も見たかった。
展示は1950から10年ごとの年代別に展示されていて、東京の移り変わりはもちろん、やっぱり海外の写真家の東京の捉え(捕え)方がおもしろかった。目の付け所がシュールな感じがいい。
 
その次に行ったノマンディック美術館というのはお台場にある特設会場。

ここで3/11〜6/24まで開催されているのが『ashes and snow』という写真、映画、美術、小説、建築が一体となったプロジェクト。「全てのイメージは自然のままで、デジタル加工や合成は全くしていない…」というもの。
どういう作品かは、見てもらうのが一番てっとりばやいからこちら→http://www.ashesandsnow.org/jp/portfolio/
「確かに凄い!合成や加工無しでこんな写真が撮れるなんて凄すぎる!どうやって撮ったんだ!?」
と会場に入った時はそう思った。…が、この『ashes and snow』は先にも書いたが、写真だけの展示じゃない。会場の中間地点にスクリーンが3ヶ所あり映像(映画)も流れている。それを見て感動もしたのだが、いろいろ考えさせられる展示会だった。
なぜなら、「どうやって撮ったの?」と思っていた写真は、ムービー(動画)で撮った中の映像を“写真”として大きくプリントしたものを展示していたのである。「納得!!これなら決定的瞬間を逃さないわけだ」
オイラの『写真』の考えはに「シャッターを押してその瞬間を記録したもの」が『写真』だと思っている。だからこの展示されている“写真”はオイラからすれば『写真』では無い。動画の中の1コマ(静止画)をプリントしただけで、これならその瞬間を狙ってシャッターを押す行為は必要とされない。
ちょっとインチキ臭い!と思ったのだが、でもそこに映っている映像は素晴らしいのだ。
…ここからいろいろ考えてしまった。間違いなく作品としては、他に類を見ない最高のもの。考えてみれば、今や『写真』もデジタルになり、その映像原理もムービーと同じ様な感じになっている。今度発売されるキャノンのEOS-1D MarkⅢの10コマ/秒だって、動画みたいなもの。
以前、ある人から「最近の結婚式ではムービーで撮った中から静止画を写真としてアルバムにしている業者もいる」と聞いたことがある。確かに最近のビデオカメラはハイビジョン対応など静止画としてもかなりのクオリティーの高さがあるのだろうから、それも今後ふえるのかも…と思ったのだ。
でも、ムービーの基本構図は横長。『写真』には縦位置の表現(撮り方)がある。これは決定的な違いだと思うのだが、これも映像技術の進歩で横位置の映像を縦長にトリミングしても問題無いクオリティーになってしまえば、そんなことも関係なくなってしまうのだろう。
『写真』ならではの撮影テクニックは他にもあるから、ムービーからの静止画を“写真”にしたものとはまったく違うものは撮れるのだが、それでも『写真』と“写真”の差はそれほど無いような気がしてきた。
う〜ん、考えさせられる…
結論を言えば、この『ashes and snow』は素晴らしい!(これはホント)
でも写真展かといえば違う。写真カメラマンの立場からすればその一瞬(1/1000秒)を撮った感動はそこには無いからだ。
まぁ、オイラのゴタクはこの辺にして、興味があればじっくり時間をかけて見るべき作品。3ヶ所のスクリーンで映し出す映像(映画)はそれぞれ違うもので、結構時間が長いし、なんてったって入場料1,900円もするんだから。